2004/12/27

生年月日の偽装


 神奈川県綾瀬市のベトナム人母子3人が、東京入国管理局横浜支局から母親の生年月日を偽装したと疑われ、強制送還の危機に直面している問題で、母子と支援団体が24日午後、在留を認めるよう求める約5800人分の署名を同支局に提出した。
 支援団体によると、母子3人は、永住権を持つベトナム人の夫を頼って来日した妻のグエン・ティ・トゥ・クックさん(39)と長女、二女。ベトナム戦争の混乱の中で正確な出生証明書が発行されなかったためクックさんの偽装が疑われた。
 高校2年の長女は大学進学を目指して勉強中で、二女も中学校に通っている。長女のトゥ・ハンさん(19)は「友達もできた日本で生活できるようにしてください、勉強させてください」と話している。
��共同通信)12月24日

 またまた日本の厳しすぎる判断です。日本の入管は厳密な審査を行いたいんでしょうけど、ベトナムはそんなに甘いもんじゃありません。ニュースになった今回は、ベトナム戦争の混乱の中でという釈明ですが、本当のところはそれもどうだかと私は思います。
 今でも田舎では出生届を出すのを忘れていて、あるいはそんなことも知らないほどの田舎者だったりして、戸籍の誕生日が本当のものと数ヶ月、あるいはそれ以上隔たりがあるという人も多くいます。

 この場合は故意にではないですが、実際は故意に戸籍を変える人も多いと聞きます。戦争当時、米軍やベトナム共和国政府に関わる人間は、諜報活動や戦略上定期的に姓名とともに生年月日を変更したということです。内戦という形態のために、当時のベトナム共和国では北のスパイや反逆者が大腕を振って生活していたわけですから、戸籍の変更は安全上必要なことだったのかもしれません。ですので、南の政権の関係者で戦後もベトナムに留まる事にしたベトナム人は、出生時の名前からいくつもの名前を経て現在の名前へとなっているわけです。
 他のケースでは、カンボジア侵攻や中越戦争の問題があります。共産党関係者以外は徴兵されて前線に送られる可能性が高かったそうです。直前にベトナム戦争が終結したばかりの国内では、今以上に南の人間、特に政権関係者への差別が強く、その子息たちが前線での戦闘を強いられ、多くが戦死あるいは重度の障害を負うことになったということです。共産党にしてみれば、ベトナム戦争の憂さ晴らし、見せしめ、さらにはベトナム共和国関係者を抹殺するためといった意図もあったのではないかと思います。
 戦争に行きたくないというごく単純な理由とともに、共産党のための戦争になんか行ってたまるかという感情が入り乱れ、かなりの数にのぼる人が土地を売り家を売り払って役人への賄賂を工面し、子息の徴兵を回避させるために一族の戸籍年齢を書き直したという事実もあるそうです。
 賄賂があれば何でもありのベトナムでは、恐らく今でも金さえあればなんでもできると思いますので、ベトナム人の戸籍がおかしいとかいうのは全く意味のないことだと思います。
 余談ですが、偽装が疑われているクックさん(39)。菊という意味のCucさんであることは容易に想像がつきます。ただ、「U」を使用する母音は2つあって、ひとつは「う」に近く、もう一つは「お」に近い発音になってます。菊の「Cuc」は後者であるので、正確には「コック」と発音した方がよりよいのではないかと思います。もともと音節の数が違うのですから、日本語の文字でベトナム語の正確な表記などは望めないといえばそうなのですけど、そう言うのにはちゃんと理由があります。
 「クック」と発音する「Cuc」は「糞」という意味なのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿