銀行で金を引き出して外に出ると、道を挟んだレストランから10組ほどのカップルが出てきました。男性は話している言葉からしてたぶん台湾人、少女とも呼べるほどの年齢の女性達は身なりからしてどこかの田舎の農村からやって来たみたいです。
ベトナムに住んでいればそれですぐにピンと来ます。そのような結婚ビジネスはチョロンの中国系住民の多い地区で盛んだと知られています。サイゴンでそんな光景に出くわしたのは初めてでした。
男性の方はその手の噂に違わぬように、ちょっと頭のおかしそうな、あるいはかなり年が行ってる、あるいは背が低く容姿も悪い、とにかく自分の国では結婚できないのだろうということが一目で分かる一団でした。
貧しさから逃れるために、半ば諦めも気持ちで、中には夢と希望を持って、少女たちは初めて会った彼らの国へ嫁いで行くのでしょう。
両者が合意の下でそうしているのですから私がとやかく言う問題でもありません。ただ、一つだけ納得いかないことがありました。
妻と二人でその様子を見守っていると、御一行様がタクシーに乗るためにこちら側にやってきました。一人の台湾人がすれ違いざまに私たちに会釈をしました。思わず妻と顔を見合わせました。
「お前なんか知らん」
どういう意味だったのか妻と家族会議を開いてもよく分かりませんでした。
少女たちが自慢げに歩けば歩くほど、その姿はいっそう痛ましさと不憫さを振りまいていました。
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