2004/11/15

金好きのベトナム人

 ベトナムを含めた東南アジアは、とにかく金(きん)が大好きである。もちろん、インドや中国、中東もそうだし、欧米でも金に投資して資産形成する人が日本よりは多そうなので、むしろ日本人がちょっと金に無関心すぎるのかもしれない。この国も上の国々と変わらず、街中には金ショップがひしめいている。
 ベトナムでは歴史的に戦乱が続いたことと、戦後は政府も銀行も信用できないものだったので、とにかく余裕な資金があれば金を買っておく、というのが今も昔も当たり前のことのようだ。しかし、いくら余剰資金とはいえ、国民所得がまだまだ低いために、一般人が一度に換える金の量では米粒大になってしまう。そこはベトナム、店名入りなどの台紙に載せてラミネート加工したりして、それなりの見た目にしている。

 また、以前と比べれば大分落ち着いたものの通貨のインフレ率が高いので、不動産などの高額取引では、ドルや金で取引される事が多い。特に田舎では家もバイクも借金をする時にも金で換算されることが多いようだ。そのため、ベトナム人は誰でも金価格については敏感で、いつもかなり正確な相場を把握している。たまに気になる物件の値段を聞いたり、家を購入した人に値段を聞いたりすることがあると、現金価格を覚えていなかったりして、代わりに金の量で答えてくれることが多い。

 金の単位としては、日本の市場ではグラム(g)、国際的な金市場ではオンス(oz:1/12ポンド=31.10g)が用いられている。一方ベトナムでは、一般的にChi(3.75g)という単位で計算され、金販売店の店頭ではその単位での売買価格が表示されている。さらにそのChiには上位の単位があり、それをCay(又はLuong=10Chi=37.5g)と言う。ただし、Cay(又はLuong)は、高額取引の際に用いられるので、庶民にはあまり馴染みのない単位かもしれない。

 そんなベトナムであるから、家族経営で金ショップを営む隣人は憧れの的であろう。店頭商品だけでも庶民から見れば、一族郎党の財産以上のものが並べられているのだから、時には店を襲いたくもなるだろう。

 金(きん)命のベトナム人は常にその情報収集には余念が無いが、しかしそこはベトナム、買い物は騙し合いの世界なので、全てがそうだとは言わないいまでも、混ぜ物をしている店も多くありそうだ。金に興味が無いので、私自身はこれまでにまだ被害を受けてはいないが。

 そんな中、最近はショッピングセンターに外国人向けのこぎれいな店があちこちにオープンしたり、会社組織で勢力を伸ばすところも多い。現在サイゴンで、最も信頼のおけると言われるところは、PNJ(Phu Nhuan Jewelry)とSJC(Saigon Jewerly Company)であろうと思われる。どちらも、サイゴン市内に広く展開しているので、買い物目的でベトナムに訪れる日本人ならすぐに見つけられるだろう。街の中心部では、旧国営デパート内の一階の入り口の一角がジュエリーコーナーとなっており各社の店舗スペースも設けられている。因みにその信用と引き換えに、価格は他社より少々高めだ。
 ただ、会社の経営方針や信頼も重要な問題の一つだけれども、結局最後のところは応対した店員の人柄によるところが大きい。有名店などでも従業員が個人的に詐欺を働くことは、どこの国でも良くあることだ。恐らく、ベトナムではそれが笑えるほど高確率だ。

以下に参考価格を掲載する。やっぱり資産として扱う場合、純金のほうが割がいいようだ。その辺りはどこの国も同じということか。

2004年3月4日現在のSJC店頭価格(すべて1Chiの価格)
24K 774,000ドン (5Chi)
24K 77,5000ドン (1,2Chi)
18K(75%)557,000ドン
14K(約58.3%)432,000ドン

※上記は売り価格のみ。別に買い価格も表示されている。当然買い価格のほうが安くなっている。
※24Kは2種の価格があり、取引量によって異なる価格が設定されている。ドルなどなら普通高額紙幣の方がレートが良くなるが、金は逆か、単に表示ミスか。その辺りの事情は不明。一般客が買い求めやすく流通しやすい単位の価格に逆のプレミアムがついたのかもしれない。結局のところよく分からない。

【追記 2004/11/05】
 本日トイチェーによると先週末のサイゴンKim hoanセンターでのSJC金(SJCにより作成された同社の刻印または証明のあるもの)価格は買い829,000ドン/Chi、売り835,000ドン/Chiだった。最近は米国経済の後退、原油高、イラク戦争の新展開、ブッシュ再選(?)など様々な要因によって、国際金価格は数年来の高値にある。日本では円高により国内金価格の上昇は相殺されているが、ベトナムはドルペッグなので国際価格の上昇はそのまま国内価格に反映されることになる。記事を書いた3月に比べて約10%近くも上昇したわけで、金で借金したベトナム人は返済に汲々としているかもしれない。

��この記事は2004年3月4日、3月5日に書いたものに加筆・修正しました。内容は当時のものです。)

0 件のコメント:

コメントを投稿