ある一人の田舎もんのベトナム人が親戚かなんかの越僑に連れられてサイゴンまで出てきてバイキングを食べに行ったんだ、と近所の人達に自慢げに話しているのを偶然耳にしました。場所はドンコイ通り、店の名前はHoa Hong(薔薇)、価格は一人8万ドンだったそうです。たかだか5ドルですが、されど5ドル。ベトナムの庶民にとっては一食にそんな金を使うのは夢のまた夢なのです。
今日は日曜日ということもあり、今晩さっそく行ってみることにしました。ドンコイを最徐行で走り左右を懸命に探すものの見つかりません。しかもドンコイは一方通行なので、サイゴン川まで下るとまた別の道で引き返し、ドンコイ、グエンフエ、ハイバーチュンを何度往復したことか。ベトナム人の言うことなので、恐らく値段は何割増かになってるだろうとは思ってましたが、もしかして店名まででっち上げだったのか。それとも正確な店名を覚えていなかったのか。田舎から出てきたので、ドンコイの近くだったけど本当の通りの名前がわからないから、とりあえずドンコイと言っておいたのか。謎です。
その店が絶対に無いとはいいきれませんが、ドンコイ通りのNha Hang Hoa Hong(Rose Restaurant?)をどなたかご存知でしょうか。
結局諦めて他に行くことにしたのですが、バイキングに行くものだと胃が既に準備しているのでなんとしてもバイキングを探さなければなりません。さて、ではどこに行ったものかとそんな心配はサイゴンの中心部では全く不要で、昨今この界隈ではレストラン、ホテルを含めランチだろうとディナーだろうとバイキングで凌ぎを削っているのです。結局グエンフエにある4つ星のパレスホテルの14階にあるバイキングに決めました。価格は飲み物込みで7万9千ドン(約5ドル)でかなり手ごろな価格設定です。味も値段にしてはまぁまぁ納得できるものでした。ディナーにバイキングをしているところは限られますが、高級ホテルでも昼頃までは確実にありますし、高くても10ドル強といったところなので、貧しい私にとっても問題なく門をくぐれます。
余談ですが、パレスホテルで食事をしていると急に後ろで食事をしていた家族の中の一人が大声で怒鳴り始めました。その親父はどうやら伝票のビールの本数が違うと訴えているようでした。店とのやり取りがあった後で親父の主張が認められたようでしたが、それでもそのメガネ親父の怒りは収まらなかったらしく、財布から金を取り出したあとも、社長に苦情の手紙を書くだのなんだのとわめき散らしていました。
店内には外国人観光客と駐在員、ベトナムの成金と共産党員。ちょっと金のかかるところや高級店にありがちな顔ぶれですが、ビールの本数でそこまで激高できるベトナム人はさすがです。小銭をもてるようになって一部に成金は出てきましたが、ベトナム人の心はまだまだ貧しいのです。私は知りませんが、どうやらその親父は音楽関係の有名人のようでした。
もう一つ余談。ドンコイの店が見つからなくてパレスのバイキングを偶然見つける前に、前から気になっていた旧国営デパート(Thuong Xa Tax、Tax Trade Center)内にある中華料理に行ってみようと決めました。エレベーターで3階に昇り店の前に立つと中は大盛況です。これはかなり期待できると胸を膨らませて店内に入ろうとするとなんか雰囲気が違います。ウェディングドレスのような服を着た2人の店員がドアを開けて中へ入るように促すので、その人に訊いて見ると、今ちょうど結婚式なので一般客は入れないと言うことでした。先に言えよと思いながら帰りましたが、日本のように席が決められずに慌しく進められるベトナムの結婚式では、招待客になりすましての食い逃げが最近横行しているという話も大いにうなずけます。
ついでにもう一つ。ベトナムではバイキングのことをビュッフェと言います。仏語のBuffetです。それは電車なんかにあるやつだろう。バイキングというのが正しい、と思っていつも眺めていたのですが、辞書を引いてみると「smorgasbord」とありました。もとはスウェーデンを始めとする北欧の食事形式だそうです。いわゆる海賊なんかもそうしていたのかもしれません。北欧をイメージするバイキングを冠してバイキング料理と言ってしまう日本人も人のこといえませんでした。
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