ベトナム人と雑談をしているとひょんなことから税金の話になったので、曖昧な知識と薀蓄を搾り出して日本の税制を説明しながら、ベトナムの税金についても少し聞いてみました。
以前は聞いたことがありませんでしたが、最近はベトナム人も所得税を払っているようです。聞くところによると、3百万ドン未満は免除で3百万ドン以上は10%課税されるそうです。どうやら累進課税制のようですが、それ以降の詳しい率はまた機会があったときにでも調べてみます。しかしながら、今のベトナムで課税されるほどの所得がある人間はほとんどいないでしょう。ある程度権力を持った共産党員とその家族、あるいは外資系で働く人の中ではそれらの金額も難しいものではありませんが、名も無い一般人にとっては夢のまた夢でしょう。
所得に関しては地域間格差があり、当然、都市部の方が地方よりも物価が高い分だけ所得も多めですが、たとえば最近ホーチミン市の郊外に雨後の筍のように建設される工場に勤務する平均的な工員の給与は、基本給で50万ドン程度のようです。
その額を見ても、まだベトナム人には税金を納めるという意識は多くなさそうです。
でも、高額の買い物をしたときや大型店舗で買い物をする際には、日本の消費税のような付加価値税なるものを徴収されます。スーパーなどでもしっかりとレシートに記載されています。そこでは税率は2つに分けられています。おそらく生活必需品と嗜好品という分類だと思いますが、その分け方を見るとベトナムの生活水準がなんとなく想像できます。たとえば食品ですが野菜などは5%ですが、バターは10%だったり。
その辺のベトナム人に聞いてもほとんどバターを食べたことが無いというので、そんなことからも舶来の高級品に分類されるのでしょう。
もちろんベトナムではフランスパンや菓子パンは食文化の一角をなしていますが、街角で見かけるBanh Mi Thit(フランスパンのサンドイッチ)を注文してからおばさんが作る様子を眺めていると、パターの代わりにマーガリンともなんともいえない体に悪そうなギトギトの油を塗っているのを目にします。そのマーガリンもどきがベトナムでは一般的なものなので、10倍近くの価格の輸入バターはやはり贅沢品なのでしょう。
スーパーが出来始めたころは、払い慣れない付加価値税にどこか損をしたような気持ちにさせられましたが、所得が把握しにくい現状ではやはり直接税よりも間接税の方がより効率的な手段ということなのでしょう。今後はその方向で進んでいくのでしょうか。あるいは、そこまで考えたわけではなく、取れるところからは取るという単純な理屈であるのかもしれませんが。
そういえば、10年ほど前に屋台の親父に税金について聞いたことがありました。そのときの彼の回答は「看板の大きさによる」とのことでした。なんとも眉唾ものですが、当時のベトナムではありそうなことです。
さらに、ベトナムでは会社勤めは多くなく、地方は農民で都市部も個人営業が多いように思います。現在は店を持つためには営業許可証が必要で、それによって税金が課せられていますが、個人商店、家族経営のベトナム人はまず帳簿などというものをつけていません。では、どのように税額が決定されるかというと、本当に恐るべきことですが、税務員の鶴の一声なのです。知り合いの店も、担当の役人が代わった途端にいきなり税額を五割増にされた上に、賄賂を支払わなければさらに税額を上げると脅迫されたそうです。しかも賄賂の額まで指定されて。
それで終わりではなく、公安、税務員、あるいは店の経営に影響力のある人間は、自分の家のものがなくなると、担当地域を回って、欲しいものをたかって歩くようです。現金収入もあり必要なものも全てただという生活を体現できるとすれば、街中に増えた自家用車の数にもなんとなく納得できます。
もちろん、全てのベトナム人の職員が不正をしていると証明することは出来ませんが、ベトナムを多少なりとも知る人から見れば、不正をしていないと考える方が非現実的ではないかと思います。
賄賂はともかくとして、この国にはまだ税制に関する明確な規定が無いようですので、何につけても担当者の裁量に任され、結果としてややこしいことになってしまうのでしょう。
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