2005/05/14

なぜ「グエン」が多いか?

 ベトナム人にはなぜ「グエン」が多いか?ということを書いたページがありました。概ね想像通りのことが書かれていましたが、よくまとまっていて勉強になりました。そういえば私も初めてベトナムに関わりを持ち始めたころはベトナム人はほとんどグエンだと思ってました。確かにベトナム人の姓は少なくて、上位10姓でほぼカバー出来るぐらいです。韓国も似たような状況ですが、韓国の場合は「金」ですね。韓国人の姓について講釈を垂れる知ったかぶりの人たちは韓国人のほとんどは「金」だと言っていました。知識がなかった子供の頃はそんなもんかと思ってましたけど、韓国人の友達ができたり韓国についていくらか知識がつくようになるにつれて、そんなことないじゃんと思うようになりました。最近の韓国ブームをみてもそれは分かります。芸能人が本名かどうかは別にして、「金」が多いのは確かですけど、少なくとも「ほとんど」ということはありません。ところで、韓国人は同じ名字だと結婚できないと聞いたことがあります。その辺はどうなんでしょうか。ベトナムではそんなことは全然ありません。

 ベトナム人にしろ日本人にしろ庶民はかつて名字がありませんでした。日本の場合はどうしてこんなに多様になったのか良くわかりませんが、名字を持つことになった時に藤原の「藤」や「平」の字を取ったりして箔をつけたり自分の出自を偽ったりすることはありましたので、かつての権力者の名前が名字の一部に多く残っているのが確認できます。ベトナム人の場合、それが阮、黎、潘、呉などだったのでしょう。韓国も同じです。いわゆる創氏・改名なんですけど、改名の方は諸説あるのでそれについては述べませんが、創氏によって名字がなかった韓国人もそれを持つようになりました。そこで一番人気だったのがきっと「金」だったわけですね。学校では創氏改名とひっくるめて教えられていましたが、もともと別物ですし少なくとも創氏の部分については今に至るまでなんであそこまで反発されるのか日本人の私にはよく理解できません。それは本題ではないのでまた別の機会があれば。
 というわけで、ベトナム人、韓国人は姓を持つ時になって、権力者、有力者、有名人のものをもろそのまんまの形でパクってきたので、おんなじ名前ばかりになってしまいました。日本人は少し遠慮があって、ベトナム人と韓国人は傍若無人で遠慮を知らないということがもしかすると言えるかもしれませんが、名字が一文字なので仕方ないといえばその通りです。
 余談ですが、上記ページにはホー・チ・ミン(胡志明)の本名はグエン・タット・タイン(阮必成)と書かれています。でも、私は違うと思います。ご存知のようにホー・チ・ミンは革命運動のために何度も名前を変えました。国際会議でグエン・アイ・クォック(阮愛国)だったり、フランスへ渡る時にグエン・ヤン・バー(阮文Ba(=ベトナム語で3の意味、該当する漢字なし))だったり、そもそもベトナムの教育では生まれたときはグエン・シン・クン(阮生宮(クンは弓か供かもしれません))と教えられているそうです。他にもあるかもしれません。どれを本名とするかはどうやって判断したらいいのか分かりませんけど普通は生まれた時の名前なんじゃないでしょうか。しかし、そうは言ってもこの国ではホーチミンは神として祀られてしまっているので、北朝鮮の金一家となんら代わりありません。そんなわけで国際社会に出てきた時以外のことについては、もう一般人にはホーチミンの歴史の真実など知る由もありません。
 脱線しまくりです。さて、標題の「なぜ「グエン」が多いか?」について個人的な調査を敢行しました。まぁ実はそんな大げさなものではなく30名の女性の名前が書かれた名簿を検証してみました。年齢は19歳から21歳といったところです。北部や中部の人もいますが全体的に南部出身者が多いので多少地域による影響があるかもしれません。では見てみることにします。Nguyễn 7名、Trần 4名、Lê 3名、Trương 2名、Đỗ 2名、Ngô 2名、Phạm 1名、Hồng1名、Đặng 1名、Đàm 1名、Đoàn 1名、Văn 1名、Sơn 1名、Phan 1名、Trịnh 1名、Vũ 1名でした。Nguyễn率23.3%でした。うーん微妙。多いのか少ないのか。もちろん一国の国民の中での一つの名字の占有率という点では多いと言えます。ただ、個人的にはもっといってるかと思いました。でも、一つ確信を持ったことは、初見の名前がないということです。ベトナム在住の方、ベトナムに詳しい方ならどの姓も一度は耳にした事があると思います。その点についてはやっぱりベトナム人は名字が少ないです。そういうわけでして、欧米とはまた違った理由でベトナム人は名字ではなく名前で呼び合うわけです。
 因みに、ベトナム人は名字と名前の間にいわゆるミドルネームのようなものを付ける習慣があり、女性はダントツでThị(氏)、男性はもう少し分散していますが主にVăn(文)です。先の名簿を見てみるとThịのある女性は14名。Thị率なんと46.7%です。対象とした名簿は20歳前後で多くは都市部、中流階級の方々ということを考えると、伝統的な名であるThịは年配の方や地方に行くにつれて増加することが予想されますので、全国民ではかなりの数になるはずです。どうでもいいことですが、名簿中Nguyễn Thịの合わせ技は2名でした。Nguyễn Thị率6.7%。
 そんなわけで知り合いのベトナム人女性の名前をうっかり忘れて困ったときはこう言いましょう。
「えー、Nguyễn Thị…なんだっけ」

2 件のコメント:

  1. M Truong2007年10月10日 17:49

    こんにちは。興味深く拝見させていただきました。実は私の夫はベトナム人なのですがアメリカで出会い、こちらで結婚をしました。しかし、まだ日本では入籍していません。実は苗字の表記がカタカナになるとのこでどう表記してよいのかわかりません。厳密にいうとベトナム語で発音する場合と英語として発音する場合は発音が違うとも聞いたことがあります。
    私の苗字は”Truong”ですが英語の発音ですとカタカナではどう表記できますでしょうか?もしご存知でしたら教えてください。よろしくお願いします。

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  2. >>1 M Truong さん
    はじめまして。
    結論から先に言ってしまえば、自分が聞こえたように好きに書けばいいと言うことになります。受理する人が見て明らかに違うと思われるようなものでなければ大抵のものは大丈夫なのだと思います。
    たとえばLos Angelesはロサンゼルスとして定着してますが、ロサンジェルスと書いても問題ないわけです。あまりいい例えではないですね。もう一つ余談になりますが、ベトナムの中南部にNha Trangという港町があります。発音はTrを巻き舌気味にしてニャチャンです。日本のガイドブックにもニャチャンと書いてあります。ですが、英語のガイドブックにはアルファベットのそのままの表記なので、欧米人の中にはニャットランという人もいます。魚から作る醤油はNuoc mamで私にはヌックマムと聞こえますが、ベトナム戦争の従軍記者による記事の影響からかニョクマムというベトナム語が少しでも分かる人なら奇妙な読み方も日本では広く浸透しています。だんだん関係ない話になってきました。
    そもそも外国語を日本語の文字で正確に書き表すことは不可能です。さらにご存じのようにベトナムは地方によってかなり発音が異なります。自信を持ってご自分が聞こえた通りに書く、または人に呼んでもらいたいように書くのが良いと思います。
    ご質問のTruongさんですが、私が書くなら「チューン」か「チュォン」のどちらかにすると思います。でも証明書などを作って日本人に読ませることが多くなることを考えると「チューン」の方が無難でしょうか。
    ご存じかもしれませんが、Truongさんといえばベトナムの男性歌手の二大巨頭にLam TruongとDan Truongというのがいます。Lam Truongが先に売れたのでそれにあやかってDan Truongが真似して売り出したと記憶しています。ベトナムの歌謡曲は日本の八〇年代っぽいものが多いですので、Lam TruongがマッチならDan Truongはトシちゃんと言ったところでしょうか。
    と、ベトナムのことを日本人の私が書いてしまいましたが、M Truongさんは日本の方ですよね。ベトナムの方でしたらお許しください。

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