2005/03/05

2004年の鳥流感

 昨年の年初に感染が騒がれた後、雨季前にはもうほとんど噂にもならないほどの落ち着きを取り戻した鳥インフルエンザ。その後制圧宣言が出され市場にも鶏肉、卵が戻ってきた。人々が既にそんな話を忘れかけていた年末に突如として遠い昔話であるかのような出来事が再燃し、その勢いは昨年を上回るほどである。しかしなぜか、なぜなのか、どういったわけなのか被害は昨年を上回る勢いだというのに、ベトナム人の反応はというと去年より冷ややかなのである。2度目だから飽きちゃったのか。鶏肉、鶏卵業者が札束を積んで、報道や販売規制に影響を与えているのか。テト前もテトも、もちろん今現在も販売状況に影響はまったくなく、人々の関心もほとんどない。テト料理による消費量の増加が、感染の拡大に繋がるのではないかと騒がれていた事態も、結論から言えば全然大丈夫だった。

 疾病対策機関的にはまだまだ被害は収束せず注意を要する段階には変わりない。去年と今年の被害状況は同様なのに、報道も街ゆく人々の様子も隣家の食卓も昨年とはちょっと違う。無論、去年に比べて報道の量が制限されていることが主因であろう。
 去年の今頃の状況を振り返ってみる。

【2004-02-27 (金) 】

 鳥インフルエンザはまだ収束しておらず、以前ほどではなくなったものの毎日何らかの報道がある。スーパーの卵コーナーにすっかり他の商品が整然と陳列されているのを見ると、まだしばらく目玉焼きを食べられそうにない。
 最初の報道があった時のような騒ぎは今はもうないが、それでもベトナム人もまだ口にするのは控えているように見える。ベトナム社会の習性はよく分からないけど、アメリカのように熱し易く冷め易い、というより馬鹿騒ぎするお国柄であれば、近いうちに鶏肉も帰ってくるだろう。
 テト前からだからもう一月以上も鶏肉も卵も口にしていない。売られてないものを食べないのは当たり前なのだが、手に入れる方法はある。メディアが騒ぎ出した頃から大手の養鶏施設や田舎で鶏が処分される映像を何度も目にした。しかし、貧しい農村ではなけなしの金をはたいて育ててきた財産である鶏は、そう簡単に手放せるものではないのである。事実、個人的に買い求めに行けば難なく手にすることができるのだ。まぁ私はわざわざそんなリスクを取ってしてまで鳥を食べたいとは思わないけど。

…とテレビを見ながら書いていたら、たった今、そろそろ卵は食べられるかもしれないとのニュースが流れていた。鶏肉はまだ先になりそうだが、卵の出荷の準備をしている映像があった。卵を使ったパンの販売も明日から解禁されるとのことで、やっとぺちゃんこのパンとはおさらばだ。卵やパン等に関してもこれまでも違法ながら売ってる人はいたけど。

 今日のニュースで、日本でもたしか兵庫の養鶏場で3千羽が死んだのに一週間届け出ず、農水省が怒ってるというものがあり、被害は散発的ながらも日本ではまだ収束の目処が立っていないようだ。実際ベトナムでもどうなのか。どの新聞も政府の広報誌と変わらず事実を書かないのは誰でも分かっているので、私はしばらく様子を見てから買いに行くことにしよう。

 出荷停止が解かれる理由がまたベトナム的である。国内の鶏を処分しつくすとまた一から育て上げるのにかなりの労力を要することと、海外からの輸入の増大を懸念しているとのことなので、この国も国民の健康より大事なものがあるようだ。


【2004-03-18 (木)】

 明日から鶏肉が販売される。先日の記事で、卵だけ先行して販売が再開されたと伝えたが、鶏肉もいよいよである。卵が売られ始めた時は、これに続いて鶏肉もすぐかと思いきや結構待たされた。鶏肉の解禁日が前に一度決まったような話も聞いていたけど、延長されたのだろうか。それでも明日からは、これまで隠れて売っていたベトナム人も大腕を振って堂々と販売するためのお墨付きをもらったので、きっと喜んでいることだろう。ただし、スーパーなどではまだしばらく先のことになりそうだ。そういえば、市場等で卵が売られ始めてからずいぶん経つが、まだスーパーで卵を見かけない。これは自主規制なのだろうか。もしそうなら、ベトナム人にも儲けより優先するものがあるのか。ちょっと見直した。というよりかなり驚いた。ほんとに自主的かどうか分からないけど。

 それにしても、前に見た鶏肉解禁のニュースはなんだったんだろう。ネタ元は新聞かテレビか忘れたけど、私の聞き間違えだったのか。担当者の気が変わったのか。
 ともかくまた鶏肉料理を食べられるようになるのは、歓迎すべきことである。でも、しばらくはベトナム人の様子を見てからにしよう。


【 2004-03-23 (火)】

 昨日近所のスーパーで鶏肉を買い求める行列に遭遇した。今朝の新聞によると、同店ではあっという間に仕入れた300Kgが完売したそうだ。その量が多いのかどうなのかは判断がつかないが、そんなに鶏肉食べたかったのか、と私の頭の中では「サイゴン在住=鶏好き」の図式が刷り込まれたのであった。
 これまでも市場などで買うことができたが、わざわざスーパーでの販売解禁日に合わせて買いにくるということは、ベトナム人は少なからず「スーパー=安心」と思っているのかも。個人的には「スーパー≒市場」だと思う。さらに、「市場の鳥≒鳥インフルエンザ」となるので、∴「サイゴン在住ベトナム人→安心スーパーの鶏=市場の鳥=インフルエンザの鶏」ではないかと思い、まだしばらく我が家で食すのは控えようと思う。

 昨年の今頃はそういえば卵も鶏肉も販売禁止だった。今年はというと、たしかに鶏肉はあまり見かけない。でも、卵は普通に売られている。ニュースは少ない。そう、報道は少ない。明らかに。去年は相当数を処分したようだけど、それに何か不都合でもあったのか。今年はもうあんまり処分したくない理由でもあるのか。

 鳥インフルエンザの最大の感染国ということで、今年のベトナム観光業は壊滅的かと思いきや、欧米人が押し寄せてるらしく、フエ辺りではどこもホテルが満室で予約も入らない状況だそうな。どうやら、津波被害を受けた辺りへ行く予定だった旅行者の行き場がなくなって流れてきているらしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿